SMETAガイダンスの見直しに関する外部協議とその結果:サマリーレポート
本レポートは、SMETAガイダンスおよびツールに対する3つの変更提案に関して実施された協議の概要を示すものです。Sedexが協議を行った背景、そのプロセス、寄せられたフィードバック、そして顧客およびステークホルダーからの意見を踏まえて下した決定について詳述しています。
Sedexは、この提案に目を通し、ご意見を寄せてくださったすべてのお客様およびステークホルダーの皆様に心より感謝申し上げます。メールや電話でご回答いただいた方が210名を超え、ウェビナーを通じては1,000名以上の方々にご参加いただきました。Sedexは皆様の声に耳を傾け、学び、そのフィードバックを意思決定に反映しました。
今回、多くのお客様と広く対話する機会を得られたことを大変嬉しく思っております。また、多くのご参加と、建設的かつ有益なご意見をいただけたことに励まされました。ご協力に深く感謝申し上げるとともに、今回のガイダンス改訂が、私たちが顧客および関係ステークホルダーの声に真摯に向き合っている姿勢の表れとなれば幸いです。
提案された変更内容
提案された変更は以下の3点です:
1.アナウンス型監査(監査日が事前通知される監査)の選択肢を廃止すること。
2.SMETA監査は、24か月を超えると現時点の職場状況の信頼できる評価とは見なさないことを明記すること。
ただし、推奨される監査の頻度(ハイリスクなサイトは年1回、ミディアムリスクは2年ごと、ローリスクは顧客の判断による)は変更されません。
3.Sedexプラットフォームに新規参加するすべてのサプライヤーに対し、12か月以内の監査実施を義務付けることが、会員にとって有益であると考えられること。
これらの提案の目的は、データの質と正確性の向上、および顧客によるサプライチェーン上のリスクの把握と軽減の支援にあります。
また、これらの変更は企業の人権デューデリジェンス(HRDD)義務への対応をより効果的に支援し、労働者や環境にとってより良い結果をもたらすと考えました。
Sedexはこの提案について、顧客および会員との協議プロセスを実施しました。
以下に、寄せられたフィードバックの概要を示します。
協議を経たSMETA手法の変更内容
協議を通じて寄せられたフィードバックを踏まえ、Sedexは以下の通り決定いたしました:
提案された変更案 | Sedexの決定内容 |
1.アナウンス型監査(監査日が事前通知される監査)の選択肢を廃止する | この提案は採用しないことに決定いたしました。しかし、監査の質の向上を目的として、バイヤー会員が段階的に移行できるようガイダンスとプラットフォームを変更する予定です。 具体的には以下の変更を実施予定です: ① ガイダンス/方針の更新 ・SMETAの監査員、バイヤー、サプライヤー向けガイダンスを改訂し、セミアナウンス型(監査日が期間で事前通知される)およびアナウンスなし型(監査日が事前に通知されない)監査の使用を推奨。※アナウンス型監査が必要な物流上の理由や正当な理由がある場合を除く。 ② プラットフォームの更新(セミアナウンス型およびアナウンスなし型監査の導入促進) ・プラットフォーム上で監査をスケジューリングする際、セミアナウンス型をデフォルト設定とする ・アナウンス型監査をスケジュールする場合、その理由の記録を必須とする。この理由はSedexが承認/却下するためのものではなく、監査の質およびアナウンス型監査の使用状況の継続的な分析に活用される。 |
2.SMETA監査は、24か月を超えると現時点の職場状況の信頼できる評価とは見なさないことを明記する | この提案は採用することに決定いたしました。 以下をこの変更に沿って更新する予定です: ① バイヤー、サプライヤー、監査員向けのガイダンス文書 ② Sedexプラットフォーム上のカスタマーダッシュボード ※この変更によって、過去の監査レポートへのアクセス自体は変更されません。 |
3.Sedexプラットフォームに新規参加するすべてのサプライヤーに対し、12か月以内の監査実施を義務付ける | この提案は採用しないことに決定いたしました。 多くの反対意見が寄せられ、Sedexがどのサプライヤーを監査すべきかを強制する立場にはないと判断されました。Sedexは会員の意見を採用し、今回この提案を進めないことを決定いたしました。 |
コンサルテーションのプロセスとフィードバック:
Sedexは、SMETAガイダンスおよび手法に対する3つの変更案について、顧客、監査員、その他のステークホルダーからの意見を把握することを目的として、以下の活動を実施しました。
1. すべての会員に対し、SMETAガイダンスおよび手法に関する提案された変更についての公開協議を行う旨とその詳細をメールで送付
2. 提案された変更の概要と、なぜその変更が検討されているのかという背景の説明を含む資料をSedexのウェブサイトに掲載(全員が閲覧可能)。この資料には、フィードバック提出方法も明記されており、関係者に対してメールでの意見提出を呼びかけた
3. グローバルウェビナーを2回開催し、提案内容の説明とグローバル顧客およびステークホルダーからのフィードバックの収集を実施
4. 希望する顧客や業界団体と個別の電話会議を実施
5. メールによるフィードバックを依頼
これらの活動は、2月24日から3月31日にかけて行われました。
この期間中、Sedexは多数の会員と1対1の電話会議を行い、合計210名のステークホルダーからメールによるフィードバックを受け取りました。さらに、1,073名がウェビナーに登録し、オンライン投票やコメントを通じて意見を提供しました。
以下は、提案された各変更について受け取ったフィードバックと、このフィードバックの結果としてSedexが下した決定の概要です。
1.アナウンス型監査(監査日が事前通知される監査)の選択肢を廃止する案
ウェビナーでの意見はこの提案について賛否が分かれました。
参加者の46%は、データの質の向上など提案されたメリットが得られると考えると回答。一方、47%はメリットは得られないと考えると回答しました。
バイヤーや監査員の間では、アナウンス型監査の廃止に対する支持が多く見られました。中には、すでに自社のプログラムでこの変更を導入しているバイヤーもおり、監査員からは監査のスケジューリングが容易になるとの意見もありました。
一方で、多くのサプライヤーはこの変更に強く反対し、対応が非常に困難であるか、運用上実現不可能であるとの懸念を示しました。反発の一因には、すべての監査が事前通知なしになるという誤解もありましたが、実際にはセミアナウンス型(監査日が期間で事前通知される)への移行を推奨しています。
しかし、セミアナウンス型監査であっても、人事チームが別拠点にいる場合など、監査日を指定できない現場での監査は難しいという問題が多く挙げられています。そのため、監査に必要な書類や情報の取得が困難になるケースがあります。
メールで回答した人の48%は、理論上は賛成しても、実際の運用は難しいと答えており、特にビジネスへの影響を懸念するサプライヤーからの強い声が多く寄せられました。
SEDEXの決定:
Sedexはこの提案を全面的に導入することはしませんが、お客様がこの方向へ移行できるよう、ガイダンスおよびプラットフォームを更新し、セミアナウンス型(監査日が期間で事前通知される)をデフォルトの選択肢として推奨することに決定いたしました。
以下のとおり変更します:
1. ガイダンス/方針の更新:
・監査員、バイヤー、サプライヤー向けのSMETAガイダンスを更新し、物流上の理由やその他正当な理由がある場合を除き、セミアナウンス型(監査日が期間で事前通知される)およびアナウンスなし型(監査日が事前に通知されない)監査の使用を推奨します。
2. プラットフォームの更新(セミアナウンス型およびアナウンスなし型の導入促進):
・監査スケジューリング時のデフォルトをセミアナウンス型に設定します。
・アナウンス型監査をスケジュールするユーザーは、その理由を記録する必要があります。この情報は、監査の質およびアナウンス型監査の利用状況の継続的な分析に役立てられます。
2. SMETA監査は、24か月を超えると現時点の職場状況の信頼できる評価とは見なさないことを明記する案
この提案は、一部のお客様がすでに実施しているプログラムと整合しており、多くの支持を得ました。ウェビナーの回答者の61%が、この変更によってデータの質向上という目的が達成されると考え、89%が実施のしやすさについて肯定的または中立的な意見を示しました。メールでのフィードバックは、他の2つの提案に比べて少なめでした。
寄せられた懸念の多くは、リスクの低いサプライヤーに対する監査の頻度が増えることへのものでしたが、当社の監査頻度に関するガイダンスは変更しません。監査の情報は最大2年間有効であることを推奨しています。
本提案において、監査頻度を2年ごととする義務はありません。Sedexの立場を明確にすると、高リスクのサプライヤー(当社のリスク評価ツールで特定されたもの)は年1回、中リスクは2年に1回、低リスクはバイヤーの裁量で監査を行うことを引き続き推奨します。
低リスクのサプライヤーについては、特定の監査頻度を推奨せず、バイヤーの判断に委ねています。例えば、低リスクサプライヤーのランダムサンプル監査、必要に応じた監査、または監査を行わないといった運用が考えられます。
SEDEXの決定:
この提案は採用することに決定いたしました。
この変更に合わせて、以下を更新します。
1. バイヤー、サプライヤー、監査員向けのガイダンス文書
2.Sedexプラットフォーム上のカスタマーダッシュボード
なお、これにより監査レポートや監査データへのアクセスが制限されることはなく、すべての監査情報は引き続き会員により閲覧可能です。
3. Sedexプラットフォームに新規参加するすべてのサプライヤーに対し、12か月以内の監査実施を義務付ける案
一部のバイヤーからはこの決定を支持する声がありましたが、ウェビナー参加者の約3分の1(31%)およびメール回答者の28%は、この提案を実行することは難しいと回答しました。
また、このガイダンスがサプライヤーのSedex入会を妨げる可能性があることや、Sedexのサービスやガイダンスの基盤となるリスクベース(よりリスクが高い領域から対応していく)の人権デューデリジェンスの原則に合致していないとの懸念も示されました。
SEDEXの決定:
この提案は採用せず、これ以上の対応は実施しないことに決定いたしました。
次のステップ
これらの変更は即時には適用されません。Sedexは以下の実施を予定しています。
・サプライヤー、バイヤー、監査員向けマニュアルのガイダンスを7月までに更新すること
・2025年にプラットフォームの更新を行うこと