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サントリーのサプライチェーンでの労働条件の改善に向けた取り組み

2021年6月17日  

サントリーホールディングス株式会社(以下、サントリー)は、グローバルに展開する食品酒類総合企業で、プレミアムジャパニーズウイスキー「響」、「山崎」、「白州」、バーボンウイスキー「ジムビーム」、ビール「ザ・プレミアム・モルツ」、飲料「天然水」、「伊右衛門」、「BOSS」などのブランドを展開しています。 

サントリーは「人と自然と響きあう」という使命を掲げており、その一環として、より責任ある持続可能な調達が必要であると認識しています。 

サントリーの責任ある調達戦略とは? 

サントリーの責任ある調達戦略は、潜在リスクと顕在リスクの両方を管理し、これらのリスクをサプライヤーの工場や施設(以下、サイト)にてタイムリーに解決し、サプライチェーン上の労働者の人権保護に貢献することを目的としています。SedexのSMETA監査情報を利用することで、実際に発生しているリスクを特定することが可能で、一次サプライヤーにおいて不適合事項が報告されてから、6カ月以内にそれらを解決することを目指しています。 

また、サントリーはサプライヤーサイトのリスク項目を定義することで、サプライチェーンにおける特定のリスクを監視し、サプライヤーに対する期待値を共有しています。サントリーはサプライヤーと積極的に協力しながら改善すべきエリアを特定し、これによりサプライチェーンでの協力関係を築き、労働条件の改善に向けて取り組んでいます。 

サントリーがSedex入会を決めた理由は? 

サントリーは、Sedexに入会する前から、サプライチェーンに関連するリスクを軽減するために、ESG(環境、社会、ガバナンス)を独自のツールを通じて管理していました。基本的な調達方針や独自のサプライヤーアンケートを作成することで、サプライチェーンの倫理的パフォーマンスを把握しようとしていました。 

一方で、グローバル規模で事業を展開する中、サプライヤーを管理するアプローチは地域ごとに異なっており、例として、現代奴隷法の要求事項はサントリーが事業を展開している国ごとに異なっていました。サントリーは、より大きなインパクトを与え、グローバルサプライチェーン上の労働者の人権保護に貢献するためには、より包括的な仕組みを使って活動する必要があるという認識に至りました。Sedexの会員になることで、サントリーはサステナブル調達を強化し、共通のツールや基準を用いてサプライヤーと協力し、データの共有を効率化することができました。 

サントリーはどのように Sedexと協働してきたか? 

2019年6月に入会して間もなく、サントリーはSedexのアカウントマネージャーと協力して、継続的な改善活動を特定するということを軸に、サステナブル調達戦略の設計を行いました。 

入会後、既にグローバルサプライヤーの一部がSedexの会員であり、Sedexのプラットフォーム上で情報を共有する準備ができているという実態を確認。同時に、まだSedex会員ではないサプライヤーにも、入会を呼びかけました。その結果、1,000以上のサプライヤーサイトをマッピングし、サプライヤーアンケート(Self-Assessment Questionnaire(SAQ))を利用してサプライヤー情報の管理を開始しました。Sedex入会前は、そのような情報をスプレッドシートで管理していましたが、入会後はよりはやく、より広い範囲で管理することが可能になりました。 

SedexのSAQは、複数のリスク項目をカバーしており、ETI(Ethical Trade Initiative)ベースコードとSA8000規格などに準拠した内容となっています(SedexのSAQがグローバルサプライチェーンで広く採用されている共通のルールに沿っている)。サプライヤーのSAQに対する回答は、リスクスコアの算出にも結び付いているため、即時に方針やガイドラインの策定に活用することができました。 

SAQの回答は潜在的なリスクを管理するためにどのような対応が実施されているかを示しています。この情報は、Sedexが提供している「マネジメントコントロールレポート」に表示され、サプライヤーと、サプライヤーが共有を望む顧客の両方にレポート内容が公開されます。サントリーでは、サプライヤーが改善すべき点について建設的なフィードバックを提供することで、潜在的なリスクだけでなく、現在の労働条件の改善にも直接的な影響を与えることができるよう、積極的にサプライヤーに働きかけています。 

Sedexと協力することでサントリーが得られたメリットとは? 

世界中の1,000以上のサプライヤーサイトを含む650のサプライヤーをグローバルにマッピングした後、サントリーは850以上のサイトのリスクスコアと、約450のSMETA監査データを入手しました。Sedexへの入会費用は39,000ポンド(サントリーの世界売上高に基づく)で、1,000以上のサプライヤーサイトの可視性を得ることで、1サイトあたりわずか39ポンド相当でサイト情報を閲覧することができ、サントリーの責任ある調達プログラムは非常にコスト効率の高いものとなりました。 

「マネジメントコントロールレポート」を参考にサプライヤーと直接対話することで、改善点を積極的に特定し、サプライチェーンのリスクをさらに低減するために、対応策が必要なサプライヤーの優先順位を決めることができました。 

Sedexに入会後は、サプライヤーとの関係強化だけでなく、流通取引先とのエンゲージメントの向上にもつながっています。Sedexでの活動推進により、サントリーはサプライチェーンでのESGマネジメントの水準を上げ、サプライヤーとの協力関係を強化。人権デューデリジェンスの推進に貢献する大きなステップとなりました。